本日の動画
一発目の解説動画は、Mosconi Cup2017の第4戦:Jayson Shaw/David Alcaide vs Woodward/Jeremy Jonesの試合になります。
私がDavid Alcaideを好きになったきっかけでもあり、1本目の解説として選びました🎵
🎯 勝負の分かれ目 – Clutch Moment
この試合のターニングポイントは、第3ラック7番のセーフティショット!
Shawの背面ドローショットもあった中で、完全にイケイケだった状態で、5→6の出しが微妙な角度になってしまったところを、Shawが狭いところを通そうとして失敗してしまった後のショットになります。
🏟️ 試合の流れ
今回解説するのは、David Alcaide選手。派手なプレーは無いですが、正確なショットと引き出しの多さが特徴のプレイヤーです。
ヨーロッパが2セットを連取し3セット目も取り切れるか!?というところで回ってきたこの場面。

6番薄くて全然外せるショットですね!私は多分10回に1回くらいしか決められないです笑
さらに7番に出すためには図のように手前の短クッションに入れてからテーブルセンターあたりまで戻せれば理想ですが、7と9の間が狭くて難しいですね💦
ちなみに6番を究極弱く撞くのは薄すぎて厳しいと思います。
このショットは結果的に下図のようになり、残念ながら7番のシュートコースがほぼありません。

ただ、試合を経験したことがある方なら流れ的に攻めたくて、上のサイドポケットにバンクショットを狙いたくならないでしょうか?(スキル5の私はそうでした笑)
ここでDavid Alcaide選手がとった選択肢が素晴らしく、一気にファンになりました。
🎥 ショット解説
スーパーセーフティショットはこのリンクから確認ください。
▶️ 状況
- 8と9が若干トラブっている(一応サイドにもコーナーにも入れはありそう)
- 7のシュートがなくは無いが、バンクショットしかないのと、それでも8番に出しに行くにはドローショットかフォローショットが必要
🛠 技術的な分析
このショットのポイントはただ8と9で手玉を隠すだけではなく、トラブルを解消するというところと、9に当てる厚みを正確に狙うというところになります。

図からわかる通り、7に直接当てても9には当たらないため、7の少し左側を狙う必要があります。
また、そのために下回転をかける必要があります。
- 手玉のスピン:下回転
- スピード:中速
- 的球の角度:7の少し左
結果的にAlcaide選手のショットは最高の形になり、その後相手が当てられずにフリーボールを獲得できました。

イフストーリー
ここで注目したいのは、これがどれほどチャレンジであるかということです。
そこで少し思考を凝らし、このショットが失敗する例として大きく3つがあると思いますので、それぞれイフストーリーを考えてみたいと思います。

①8と9に当たらない場合(手玉が7に厚すぎる)
この場合、トラブルは解消できないものの、7番と手玉はかなり離れた距離にあり、相手がシュートを狙うのはかなり厳しい状態になります。ただし、厚すぎると手玉が左上のコーナーにスクラッチしてしまうため、そこだけは避けなければなりません。
②8に厚く当たってしまう場合
この場合、8のところで手玉が止まってしまい、①より7との距離は近くなりますが、それでもシュートが難しいことには変わりありません。さらに、8にあたれば弾かれて9に当たるので、トラブルも解消できます。
③8と9に当たらない場合(手玉が7に薄すぎる)
この場合、トラブルを解消できず、7との距離が近づいてしまうため、3つの中では最悪になってしまいます。ただしそれでもシュートはかなり限定されます。
したがって、実はこのショットは全くチャレンジショットでもなく、選択肢として大いに利用できることがわかります。考え方としては、9だけに当たるのがベストですが、8番を少し掠めても同じ結果を得られるので、その辺りを狙って撞くのが良いと思われます。
📝 まとめ
今回の「clutch moment」は、流れがきている中でもセーフティを選択肢としてちゃんと取ることでした。しかも今回の配置では、そこまでこのショットが難しすぎる選択肢ではないことがわかっていただけたと思います。
気になることや「このショットも解説して!」というリクエストがあれば、X(@position_taro)までお気軽にどうぞ!